有料老人ホーム登録制、2027年12月開始予定で系列サービス利用の入居条件化は認めない方向
原文のタイトル: 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第10回)の資料について
原文を開くAIによる要約
- 中重度の要介護者などが入居するホームを対象に、令和9年(2027年)12月から登録制を始める予定と示された。
- 既存ホームが登録へ移行するための経過措置は1年間で、令和10年(2028年)12月に終了する予定。
- 系列の介護事業所などの利用を入居の条件にすることや、利用者への家賃割引を登録基準で認めない方向。
- 夜間・緊急時は、職員を置くか、呼び出しで職員が駆けつけるオンコール体制のどちらかを求める。
- 政省令は年内に公布予定。具体的な規定は今後の検討で変わる可能性があると資料に注記されている。
重要な日付
- 2026年6月25日(木)「社会福祉法等の一部を改正する法律」公布
- 2026年7月29日(水)検討会第8回(登録基準・登録事務などの論点)
- 2026年9月18日(金)検討会第9回(登録制の施行に向けた対応)
- 2026年10月9日(金)検討会第10回(登録制の施行に向けた対応のまとめ)
解説
背景
有料老人ホームは、高齢者を入居させ、食事の提供、介護、家事、健康管理のいずれかを行う施設です。これまでは自治体に「届出」をすれば運営できる仕組みでした。国は「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」で望ましい水準を示してきましたが、この指針は自治体への技術的な助言という位置づけで、法令のような強制力はありません。2026年6月に、登録制を盛り込んだ「社会福祉法等の一部を改正する法律」が成立し、6月25日に公布されました。厚生労働省老健局が資料を作成するこの検討会では、7月29日の第8回から登録基準や登録の手続きを話し合ってきました。9月18日の第9回では、併設の介護事業所などを使うよう入居者を誘導する「囲い込み」への対策や、夜間の職員体制などについて委員からさまざまな意見が出ました。今回の第10回(10月9日)の資料は、これまでの議論を「まとめ」として整理したものです。
何が決まった・変わるのか
資料では主に次の点が示されました。(1)対象:中重度の要介護者を入居対象とするホームに加え、認知症の日常生活自立度(認知症による生活への支障の程度を示す指標)がⅢ以上の要介護者や、一定の医療ニーズがある要介護者を入居対象とするホームも登録の対象とします。(2)契約:系列や提携先の介護事業所・医療機関・薬局などの利用を入居の条件にすること、かかりつけ医やケアマネジャーの変更を強いること、系列サービスを使う人への家賃割引、入院などを理由に合意なく部屋を変えたり契約を解除したりすることを認めません。(3)人員:管理者と生活相談員を1名以上置き、夜間・緊急時は職員の配置かオンコールで対応できる体制をとります。(4)設備:原則個室で1人あたり13㎡以上とし、建築基準法と消防法に適合していること。(5)運営:虐待防止、災害時などの業務継続計画(BCP)の策定、協力医療機関の確保、ホーム事業と介護事業の会計の区分などです。登録をしない届出だけのホームにも、おおむね同じルールを求めます。施行は令和9年12月の予定です。
誰に関係するか
有料老人ホームへの入居を考えている本人や家族、すでに入居している人、ホームを運営する事業者、登録の事務を担う都道府県等の自治体に関係します。入居を考えている人は、契約前の書面による重要事項説明で、夜間の体制(職員が常駐するか、オンコールか)や提携している事業所の情報を確認することが大切です。今回の資料は検討段階のまとめであり、政省令の具体的な規定は今後変わる可能性があると明記されています。個々のホームが登録の対象になるかどうかは、この資料だけでは判断できません。
運営者コメント
懸念される点・課題
夜間・緊急時にオンコールを認めることについて、第9回では委員から、火災や災害のときに入居者の通報を前提とした体制では対応できないとの懸念が出ていました。一方で、夜間の配置を一律に厳しくすると人手不足や利用者の費用負担につながるとの意見もあり、安全とコストの両立は課題として残ります。また、「一定の医療ニーズ」の範囲は今後の解釈通知で決めるとされ、現時点では具体的な線引きが示されていません。
注目点・留意点
資料には「政省令等の具体的な規定ぶりは変更となる可能性がある」と繰り返し書かれており、年内に予定される政省令の公布と、その後の解釈通知の内容を確認する必要があります。人員や運営は都道府県等が条例を作るときに「従うべき基準」、設備は「参酌する基準(参考にする基準)」とされており、扱いが分かれています。お住まいの地域の条例がどうなるかにも注目が必要です。
よくある質問
登録制はいつから始まりますか。
資料では、登録制の施行は令和9年(2027年)12月、既存のホームが移行するための経過措置期間は1年間で、令和10年(2028年)12月に終わる予定とされています。具体的な日付は資料には記載がありません。法律上は、公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日に施行されます。
今住んでいる(入居を考えている)ホームは登録の対象になりますか。
中重度の要介護者を入居対象とするホームのほか、認知症の日常生活自立度がⅢ以上の要介護者や、一定の医療ニーズがある要介護者を入居対象とするホームが対象とされています。「一定の医療ニーズ」の具体的な範囲は今後の解釈通知等で定めるとされており、個々のホームが対象になるかどうかは資料からは判断できません。なお、登録の対象外となる届出ホームにも、おおむね同じルールを求めるとされています。
入居するとき、ホームの系列の介護サービスを使うよう求められたら従う必要がありますか。
登録基準では、併設や系列の介護事業所、医療機関、薬局などの利用を契約の条件にすることや、かかりつけ医・ケアマネジャーの変更を強いることを不当な条件として認めない方向です。ただし、地方などで利用できる事業所が限られ、その事業所の利用が事実上欠かせない場合は、それ自体が不当な条件とはされないとされています。
夜間は必ず職員がいるのですか。
必ずしもそうではありません。夜間・緊急時は、職員を置くか、オンコール(入居者からの連絡や通報装置で状況を把握し、必要なときに職員が出勤する体制)のどちらかを確保することとされています。連携先の職員が対応する場合も、ホームが責任をもって速やかに対応する体制が求められ、一定の経過措置期間を設けるとされています。
老人ホームの紹介会社についてのルールはありますか。
登録基準では、入居希望者の介護度や医療の必要度に応じて紹介手数料を決めるような設定をしないことが示されています。また、優良な紹介事業者を認定する制度を、ホーム事業者・紹介事業者・有識者などの三者協議で検討し、来年度から運用を始める予定とされています。認定の具体的な要件は資料には記載がありません。
このページの要約・解説・よくある質問は、公表資料(原文)をもとに作成したものです(作成日時: 2026/10/09 20:09)。内容の正確さには注意を払っていますが、制度の詳細や最新の情報は必ず原文で確認してください。
評価できる点
契約の不当な条件や、特定の事業所の利用を誘導する「囲い込み」を、これまでの指針(助言)ではなく登録基準として定める方向が示された点は、入居者が自由にサービスを選べる環境づくりにつながると考えられます。登録しない届出ホームにもおおむね同じルールを求める点や、特定施設やサ高住の手続きを簡素にして登録システムで申請から公表まで完結させる点など、事業者や自治体の事務の負担への配慮も見られます。