デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等に関する指針素案、全デジタルは小学校低中学年不可
原文のタイトル: デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等に関する指針の策定に向けて(素案)に関する意見の募集の実施について
原文を開くAIによる要約
- 2030年度以降に小学校から段階的に導入される、紙とデジタルを組み合わせた新しい教科書についての指針の素案です。
- 基本は、すべての学年・教科で紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド」の教科書が中心になる想定です。
- 全てデジタルの教科書は小学校低・中学年では認めず、高学年以上の外国語や実技系教科などの一部に限ります。
- 学校がデジタル部分を使わず紙だけで教えることは認めないとし、手書きの活動や健康面への配慮も求めています。
- 意見募集は2026年11月8日まで。e-Govのフォームか郵送で提出でき、電話・メールでは受け付けません。
重要な日付
- 2025年9月24日(水)デジタル教科書推進ワーキンググループ審議まとめ
- 2026年10月23日(金)意見募集の受付開始
- 2026年11月8日(日)意見募集の締切(e-Govは23時59分まで、郵送は必着)
- 2027年4月1日(木)学校教育法等の一部を改正する法律の施行
解説
背景
日本では2019年度から、紙の教科書の内容をそのままデジタル化した「現行のデジタル教科書」が使われてきました。ただしこれは法律上の「教科書」には含まれず、授業の一部で紙の教科書の代わりに使える教材という扱いでした。2025年9月24日、中央教育審議会のワーキンググループが審議まとめを出し、紙とデジタルのどちらを使うのが望ましいかについて、学年や教科、学習場面ごとに国が一定の指針を示すべきだと提言しました。その後、2026年に学校教育法等の一部を改正する法律(令和8年法律第37号)が成立し、動画や音声を含むデジタルの内容も教科書として扱えるようになりました。文部科学省は2026年4月以降、有識者による検討会議を開いて議論を続けており、今回その素案が示されました。この意見募集は法律で義務付けられた手続ではない任意のもので、そのため募集期間は30日未満となっています。
何が決まった・変わるのか
素案は、新しい教科書の形として「紙とデジタルを組み合わせたハイブリッド」「全て紙」「全てデジタル」の3つを想定しています。基本は、すべての学年・教科でハイブリッドが中心です。全てデジタルの教科書は小学校低学年・中学年では認めず、高学年以上の外国語と、実技系教科などの一部(小学校高学年の音楽・図画工作、中学校の音楽・美術・技術・家庭の技術分野、高校の芸術(書道を除く)・情報・専門学科の教科)に限るとしています。それ以外の教科・学年では、ハイブリッドでも主に紙で作り、デジタルは補助的に使います。特に小学校低学年・中学年は、おおむね紙で作るとしています。採択(どの教科書を使うかを選ぶこと)では、デジタル部分も調べる対象とし、採択の時点で教科書以外の教材へのリンクを表示することは認めない方針です。学校に対しては、デジタル部分を使わずに紙の部分だけで教えることは「あってはならない」としています。あわせて、ノートへの手書きの活動を確保することや、画面から目を30cm以上離す、30分に1回は20秒以上目を休めるといった健康面の指導を徹底することも求めています。
誰に関係するか
関係するのは、小学生から高校生までの子どもと保護者、教師、教科書を選ぶ教育委員会や学校長(採択権者)、教科書を作る発行者です。新しい教科書は2030年度以降、小学校から段階的に導入される予定です。今回の資料は検討会議がまとめた素案で、最終的な指針は文部科学大臣が定めることになっています。意見を出す場合は理由を付け、論点が複数あるときは論点ごとに用紙を分けて「1枚1意見」にします。個別の回答はありません。また、氏名・住所・電話番号を除いて、意見の内容が公表されることがあります。
運営者コメント
懸念される点・課題
前提となる学校のネットワーク環境は、2025年12月時点で必要な速度を確保している学校が約64%にとどまります。2030年度までに全校で確保できるかは課題です。また、デジタル部分を使わない指導は認めないとする一方、教師の指導力向上や研修は各教育委員会に期待する書き方が多く、現場の負担が増えるおそれがあります。健康や脳の発達への影響もまだ研究途上とされています。意見募集の期間が17日間と短い点も気になります。
注目点・留意点
今回は素案で、全てデジタルを認める教科は、次期学習指導要領に向けた答申などを踏まえる必要があるとされています。検定基準や標準仕様書も、これから示される予定です。家庭の費用負担や、学年ごとの具体的な導入年度は、資料の本文には記載がありません。AIを教科書に組み込むかどうかも今後の検討課題とされています。導入後も見直すとされているため、今後の実証研究や調査の結果に注目したいところです。
よくある質問
紙の教科書はなくなるのですか。
なくなりません。素案では、基本的に紙とデジタルを組み合わせたハイブリッドの教科書が中心になるとしています。全て紙の教科書も想定されています。小学校低学年・中学年では全てデジタルの教科書は認めず、ハイブリッドの場合もおおむね紙で作るとしています。
新しい教科書はいつから使われますか。
改正法の施行は2027年4月1日です。デジタルな形態を含む教科書は2030年度以降、次期学習指導要領の全面実施にあわせて、小学校から段階的に導入されます。学年ごとの具体的な開始年度は、資料の本文には記載がありません(スケジュールは図で示されています)。
目の健康などは大丈夫ですか。
素案は、視力低下などを心配する声があることに触れ、目と画面を30cm以上離す、30分に1回は20秒以上画面から目を離すといった指導を改めて徹底するよう求めています。保護者への啓発や、症状やスクリーンタイム(画面を見る時間)の継続的な調査も必要だとしています。
端末や教科書の費用を家庭が負担することはありますか。
資料には記載がありません。資料では、すべての学校で1人1台の端末が使えることと、十分なネットワーク環境が前提条件だとしています。なお、紙では学ぶのが難しい子どもに対しては、検定教科書のデジタル版を無償で渡せるようにする予定だと書かれています。
意見はどうやって出せばよいですか。
e-Govの意見提出フォームか郵送(〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2 文部科学省初等中等教育局教科書課 宛)で、2026年11月8日までに提出します。件名・氏名・住所・電話番号・意見を書き、理由も付けます。論点が複数ある場合は1枚1意見にします。電話やメールでは受け付けていません。
このページの要約・解説・よくある質問は、公表資料(原文)をもとに作成したものです(作成日時: 2026/10/24 20:05)。内容の正確さには注意を払っていますが、制度の詳細や最新の情報は必ず原文で確認してください。
評価できる点
紙かデジタルかの二者択一にせず、教科や学習場面ごとにどちらが向いているかを表で具体的に示した点は、現場が判断する手がかりになります。全国の採択権者への意向調査(ハイブリッドを望む回答が約8〜9割)や、発達段階についての専門家の指摘を根拠に、年齢が低いほど紙を重視する線引きをした点も評価できます。音声読み上げや拡大などのアクセシビリティ機能(使いやすくするための機能)を標準で求める方針も示されています。