第17回厚生科学審議会結核部会、結核予防指針の改正案で2030年罹患率8以下維持を目標
原文のタイトル: 第17回厚生科学審議会結核部会 資料
原文を開くAIによる要約
- 厚生労働省の結核部会が10月15日に開かれ、結核予防の国の指針を約10年ぶりに改める案が示されます。
- 現行指針の目標はすべて達成しています。2025年の罹患率(人口10万人あたりの新しい患者数)は8.0でした。
- 新しい目標案は「2030年に罹患率8以下を維持」です。治療支援の目標も今と同じ水準を続ける案です。
- 高齢者や結核が多い国の出身者への対策強化と、結核菌の遺伝情報を広い地域で集めて分析する体制づくりが柱です。
- 外国生まれの患者についての目標は、自治体への調査をもとに2030年に設定を検討する案です。
重要な日付
- 2025年10月6日(月)第13回結核部会(指針改正に向けた方向性、病床の方向性を議論)
- 2026年1月26日(月)第14回結核部会(定期健康診断、日本版DOTS戦略などを議論)
- 2026年3月16日(月)第15回結核部会(病原体サーベイランス、ハイリスクグループ対策を議論)
- 2026年7月22日(水)第16回結核部会(国と都道府県の病原体サーベイランス、BCG接種を議論)
- 2026年10月13日(火)第17回結核部会の資料公表
- 2026年10月15日(木)第17回結核部会の開催(10:00〜12:00、中央合同庁舎第5号館専用第14会議室)
解説
背景
「結核に関する特定感染症予防指針」は、国や自治体などが結核対策にどう取り組むかを示す厚生労働省の告示(国の公式な定め)です。少なくとも5年ごとに見直すことになっていますが、前回の改正(平成28年)から約10年がたっています。この間、2021年(令和3年)に罹患率が9.2となり、日本は世界保健機関(WHO)が定める「低まん延国」(罹患率10以下)の水準に入りました。2025年(令和7年)には8.0まで下がりました。一方で、患者は高齢者や結核が多い国の出身者などに集中しています。医療体制の維持や人材の確保も課題とされています。結核部会では、2025年10月の第13回から2026年7月の第16回まで、病床、健康診断、服薬支援、病原体の調査、BCG接種などの論点を順に議論してきました。第17回となる今回は、目標値と指針の改正案(新旧対照表)が示されます。担当は健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課です。
何が決まった・変わるのか
今回の資料はいずれも案の段階です。まず目標について、2030年の罹患率目標を「8以下の維持」とする案が示されました。今の傾向が続くと、罹患率は2030年に8.1、2035年に8.2になるとの試算を踏まえています。次の3つは現行と同じ水準を続ける案です。DOTS実施率(薬を飲んだことを確認しながら治療を支える方法の実施率)95%以上、肺結核患者の治療失敗・脱落率5%以下、潜在性結核感染症(症状はないが治療が必要な状態)の治療完了割合85%以上です。外国生まれの患者についての目標は、2030年に自治体への調査をもとに設定を検討するとしています。指針改正の柱は次の4つです。(1)高齢者や結核が多い国の出身者など、発症リスクが高い人への対策を強めること。入国前結核スクリーニングの項目も新しく設けます。(2)国立健康危機管理研究機構(JIHS)と結核研究所が、都道府県の枠を越えて結核菌の遺伝情報を集めて分析すること。(3)結核病床に感染症病床・一般病床・精神病床を組み合わせて病床を確保すること。(4)ICTや言語支援ツールも使い、患者中心の服薬支援を進めること。このほか、小児結核対策の項目の新設や、国内未承認の抗結核薬への支援も盛り込まれています。
誰に関係するか
主に関係するのは、保健所や自治体、結核を診療する医療機関、学校・社会福祉施設などの管理者です。結核が多い国の出身者が多く在籍する教育機関や事業所に対しても、症状がある人への早めの受診の呼びかけなど、施設内の感染対策を周知する記載が加わる案です。一般の方には、せき・たん・微熱などの症状があるときに早めに受診することが引き続き求められています。資料は改正案で、確定した内容ではありません。また、議題にある「結核医療の基準」の改正と、インドネシアでの入国前スクリーニング開始の具体的な内容は、資料には記載がありません。
運営者コメント
懸念される点・課題
新しい罹患率目標は「8以下の維持」で、上昇の圧力が見込まれる中で今の水準を保つことを目指すものです。ただ、各対策が罹患率の低下にどれだけ役立っているかは数値化されておらず、精密な予測は難しいと資料自身が認めています。DOTS実施率などの自治体調査は令和6・7年に行われておらず、次回は令和12年の予定です。途中経過がつかみにくい点は課題です。外国生まれの患者のデータを集計している自治体が限られていることも示されています。
注目点・留意点
結核が多い国の出身者への対策強化は、早期発見の大切さと人権への配慮の両立が問われるテーマです。指針案にも両方が書かれています。出身国という属性だけで判断せず、資料の数値や根拠を踏まえて受け止めることが大切です。今後の注目点は、第18回部会で審議される最終案、令和8年度中を目指す告示、BCGに関する別の部会での審議の行方です。
よくある質問
結核は今、日本でどれくらい発生しているのですか。
2025年(令和7年)の罹患率は人口10万人あたり8.0、患者数は約1万人と記載されています。新しく登録された患者の約60%を70歳以上が占めています。一方で、10〜30歳代の罹患率は近年上昇傾向とされています。
改正された指針はいつから適用されますか。
次回の第18回部会で最終改正案を審議し、令和8年度中の告示を目指すとされています。具体的な告示日や適用日は、資料には記載がありません。
入国前結核スクリーニングとは何ですか。
日本で結核患者数が多い国から入国し、中長期間住もうとする人を対象に、入国前に結核の検査を行う制度です。令和6年度から、フィリピン、ネパール、ベトナムを対象に始まっています。今回の議題にはインドネシアでの開始が含まれていますが、開始時期などの詳細は資料には記載がありません。
BCG接種は変わりますか。
市町村が目指す接種率の目標を95%以上とすることは続ける方向で了承されています。国はBCGの円滑な供給に努めるとされています。将来の接種の中止や、対象を絞った接種の導入を検討するための研究を進めるという記載は、改正前から引き続き残っています。結核の予防接種に関する別の指針の改正案は、予防接種基本方針部会で審議する予定とされています。
「結核医療の基準」はどう変わるのですか。
議題と配付資料の一覧には「結核医療の基準」の一部改正が挙がっています。しかし、具体的な改正内容は資料には記載がありません。
このページの要約・解説・よくある質問は、公表資料(原文)をもとに作成したものです(作成日時: 2026/10/14 20:09)。内容の正確さには注意を払っていますが、制度の詳細や最新の情報は必ず原文で確認してください。
評価できる点
現行目標の達成状況を数値で示したうえで、将来の患者数と罹患率の試算と、その計算方法まで公開して新しい目標を提案しています。議論の過程が見えやすい点は評価できます。また、指針案には患者の言語や文化的背景に配慮した支援、差別・偏見の防止、人権への配慮が明記されています。対策の効果と公平さの両方を意識した内容といえます。