石油関連製品等の価格転嫁に関する緊急調査、受注者の64.1%が影響、発注者59名に注意喚起
原文のタイトル: 「石油関連製品等の価格転嫁に関する緊急調査」の結果について
原文を開くAIによる要約
- 受注者の立場で回答した事業者の64.1%が、中東情勢による石油関連製品等の値上がりで「影響があった」と回答
- 影響を受けた受注者の51.7%は一部でも値上げを認められた一方、38.5%はまだ協議を申し出ていない
- 値上げ要請額のうち認められた割合は全体で48.3%。二次・三次以降の下請け段階ほど低い傾向
- 協議せずに価格を据え置くなどした発注者59名に注意喚起文書を送り、取適法では2名を指導
- 全都道府県での立入調査を進め、価格転嫁の実態調査の結果を今年中に公表する予定
重要な日付
- 2021年12月27日(月)政府の「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」策定
- 2022年2月16日(水)独占禁止法Q&Aで、価格据え置きが優越的地位の濫用となるおそれがある行為を明確化
- 2026年2月28日(土)調査対象行為の期間の開始(報告書本体の記載)
- 2026年6月26日(金)ウェブアンケート調査の開始
- 2026年7月27日(月)調査対象行為の期間の終了(報告書本体の記載)
- 2026年7月31日(金)ウェブアンケート調査・電話調査の終了
- 2026年9月25日(金)緊急調査の結果公表
解説
背景
令和8年2月以降、中東情勢の影響で、ガソリン、樹脂、包装資材、潤滑油などの石油関連製品等の価格が高騰しています。これを受け、同年5月の会見での高市総理大臣の発言や、6月に開かれた内閣官房の関係省庁連絡会議とワーキンググループの合同会議で、中東情勢の影響を重点的に調べ、価格転嫁(コストの上昇分を取引価格に反映すること)を徹底する方針が示されました。公正取引委員会は令和4年2月16日、コスト上昇分について明示的に協議せず価格を据え置くことや、値上げを求められても断る理由を書面・メール等で回答せず据え置くことが、独占禁止法の「優越的地位の濫用」(取引上の強い立場を利用した不当な行為)として問題となるおそれがあると明確にし、以後毎年調査を行っています。今回は、実施中の「令和8年度価格転嫁円滑化・支払の適正化に関する調査」のアンケートに中東情勢に関する設問を加え、緊急にまとめたものです。
何が決まった・変わるのか
調査は令和8年6月26日〜7月31日に、47業種の事業者15万名へのウェブアンケートと275名への電話調査などで行われ、27,622名(回答率18.4%)が回答しました。受注者(仕事を請け負う側)の64.1%が「影響があった」と答え、製造業と流通業では75%以上でした。影響を受けた受注者のうち、協議の上で一部でも値上げを認められたのは51.7%、申し出たのに協議に応じてもらえなかったのは0.8%でした。一方で38.5%はまだ協議を申し出ておらず、発注者との力関係や、価格改定の時期が決まっている商慣習が理由に挙がりました。要請額のうち認められた割合(要請受諾率)は全体で48.3%で、高い層と低い層に二極化し、二次・三次以降の下請け段階で低い傾向です。値上げを断られた際に書面やメールで理由を示されたのは17.5%でした。公正取引委員会は、協議せずに価格を据え置くなどした発注者59名に注意喚起文書を送り、取適法違反のおそれがある2名を指導しました。今後は事業者名の公表を伴う措置を含む厳正な法執行、相談窓口の活用促進、全都道府県での立入調査を進め、実態調査の結果を今年中に公表するとしています。
誰に関係するか
燃料や原材料、包装資材などの石油関連製品等を使う幅広い業種の事業者、特に下請けとして仕事を受ける中小事業者と、その発注者となる企業に関係します。発注者側は、値上げを求められたのに協議しないまま価格を据え置いたり、断る理由を書面やメールで伝えずに据え置いたりすると、独占禁止法上問題となるおそれがあります。受注者側については、申し出て協議に応じてもらえなかった例は0.8%にとどまっています。公正取引委員会は既存の相談窓口・情報提供窓口の活用を進めるとしています。一般の消費者への直接の影響については資料には記載がありません。
運営者コメント
懸念される点・課題
回答率は18.4%で、回答した事業者の傾向が全体を代表しているかは資料からは判断できません。また、約4割の受注者がまだ協議を申し出ておらず、その理由に力関係や商慣習が挙がっていることから、「協議に応じるかどうか」だけでは測れない課題が残っています。発注者側も自社の取引先に転嫁できず原資がないと説明しており、個別の注意喚起だけで取引の連鎖全体の問題が解決するかは見通せません。
注目点・留意点
調査対象行為の期間は、報告書本体では2月28日〜7月27日、概要資料では3月頃〜7月と表記が異なります。また要請受諾率は「要請した額」に対する受け入れ額の割合であり、要請額がコスト上昇分をどの程度反映しているかは資料には記載がありません。今後は、今年中に公表予定の立入調査の結果や、事業者名の公表を伴う措置が実際に行われるかに注目したいところです。
よくある質問
「要請受諾率48.3%」とはどういう意味ですか。
受注者が石油関連製品等の値上がりを理由に値上げを求めた額のうち、発注者が受け入れた金額の割合です。コスト全体では48.3%でした。分布は「100%(満額)以上」が26.9%、「0%超20%未満」が23.4%、「20%以上40%未満」が27.2%、「0%以下(据え置きや引き下げ)」が3.6%で、高い層と低い層に分かれています。
どのような行為が問題になるのですか。
公正取引委員会のQ&Aでは、(1)コスト上昇分を価格に反映する必要性について明示的に協議しないまま価格を据え置くこと、(2)値上げを求められたのに、転嫁しない理由を書面やメール等で回答せず据え置くこと、が優越的地位の濫用として問題となるおそれがあるとしています。また取適法では、受注者から協議の求めがなかったことを理由に価格を据え置いた事例が、買いたたきにあたり違反するおそれがあるとして指導されました。
注意喚起を受けた企業の名前は公表されていますか。
資料には個別の事業者名の記載はなく、業種別の件数(総合工事業8件など)のみが示されています。今後、独占禁止法上問題となる事案については、事業者名の公表を伴う措置を採るなど厳正に対応する方針とされています。
取引先が値上げに応じてくれない場合、どこに相談できますか。
公正取引委員会は、既存の相談窓口(優越的地位の濫用、取適法)と情報提供窓口(取適法、買いたたき等)の活用を進めるとしています。窓口の具体的な連絡先は資料には記載がありません。なお、今回の発表の問い合わせ先は、企業取引課優越的地位濫用未然防止対策調査室(取適法関連以外、03-3581-3378)と第一取適上席(取適法関連、03-3581-5488)です。
値上がりに苦しむ事業者への補助金などの支援策はありますか。
資料には記載がありません。今回の資料は価格転嫁の状況調査と、公正取引委員会による法執行や調査の方針をまとめたものです。
このページの要約・解説・よくある質問は、公表資料(原文)をもとに作成したものです(作成日時: 2026/09/25 20:03)。内容の正確さには注意を払っていますが、制度の詳細や最新の情報は必ず原文で確認してください。
評価できる点
政府の方針が示されてから短期間で2万7千件を超える回答を集め、業種別・都道府県別・取引段階別の数字を公表した点は、事業者が自社の状況をほかと比べる材料になります。協議に応じてもらえなかった受注者が0.8%にとどまるといった改善の兆しや、発注者・受注者双方の好事例も合わせて示しています。注意喚起59名・指導2名という具体的な対応まで明らかにしている点も評価できます。