J-クレジット制度文書の改定案:義務超過分の太陽光を登録可能に、注射用水の方法論新設
原文のタイトル: J-クレジット制度文書の改定案に対する意見の募集について
原文を開くAIによる要約
- 東京都の制度などで設置が義務となる太陽光発電設備のうち、義務量を超える部分は条件付きで登録・入会できるようにする案
- 条件は、超過分を客観的かつ数量で特定でき、さらに自治体等がその超過分を確認していること
- 注射用水の製造設備をUF膜搭載設備等に更新して化石燃料を減らす活動を評価する方法論EN-S-047を新設
- 意見募集は2026年10月21日から11月4日18時まで。e-Govのフォームで提出し、電話では受け付けない
- 3つの文書はいずれも2026年11月中旬に施行予定。寄せられた意見への個別回答は行わないとしている
重要な日付
- 2026年10月21日(水)意見募集の開始(13時から受付)
- 2026年11月4日(水)意見募集の締切(18時まで)
解説
背景
J-クレジット制度(正式名は「国内における地球温暖化対策のための排出削減・吸収量認証制度」)は、経済産業省が環境省・農林水産省と共に運営している制度です。省エネ設備や太陽光発電設備の導入、森林管理などで減らしたり吸収したりした温室効果ガスの量を、制度を管理する関係省庁が認証します。認証された量はクレジットとして他者に譲渡(売却)できます。登録できるのは「追加性」があるプロジェクトに限られます。追加性は原則として、投資回収に3年以上かかる、運転コストが増えるといった経済的な負担があるかどうかで判断します。法令で義務付けられた設備導入による削減は対象外です。これまでの規程では、自治体などが設備導入を義務化している場合、東京都の制度を例に、義務の履行にあたる設備導入は「一律で追加性を有さない」とされ、登録もプログラム型プロジェクトへの入会もできませんでした。今回、制度に関連する状況の動向を踏まえて制度を改善するため改定案が作られ、任意の意見募集(パブリックコメント)が行われています。
何が決まった・変わるのか
改定の対象は次の3つの文書です。(1)実施規程(プロジェクト実施者向け)をVer.11.5からVer.11.6に改定、(2)実施規程(プログラム型プロジェクト用)をVer.1.5からVer.1.6に改定、(3)方法論EN-S-047(注射用水製造設備の更新)Ver.1.0を新たに制定。 (1)(2)の主な変更は、設置が義務化されている地域での太陽光発電設備の扱いの見直しです。義務の履行にあたる設備でも、義務付けられた導入量を超えて設置された部分を客観的かつ数量で特定でき、さらに自治体等(例示は東京都)がその超過分を確認している場合は、超過分を義務の対象とみなさず、追加性を評価できるとするただし書きを加えます。太陽熱・地中熱などの設備は、従来どおり義務の対象分は原則として追加性を有さないとされています。 (3)の注射用水は、注射剤の製造や希釈に使う、極めて純度の高い医薬品用の水です。製造設備をUF膜を搭載した設備等に更新し、従来の設備で水の蒸留・冷却に使っていた化石燃料を減らす活動を評価します。削減量の比較基準(ベースライン排出量)は、更新後の設備で作った量の注射用水を従来の設備で作った場合に想定されるCO2排出量です。そのため、原則として実施前1年間の従来設備のエネルギー使用量と生産量の累積値を把握する必要があります。また、更新後の水は日本薬局方が定める有機体炭素試験、導電率、エンドトキシン等の基準値を満たさなければなりません。
誰に関係するか
関係するのは、東京都の建築物環境計画書制度(延べ面積2,000㎡以上の新築建築物の建築主が対象)や建築物環境報告書制度(延べ面積2,000㎡未満の中小規模建築物が対象)のもとで太陽光発電設備を設置する事業者、プログラム型プロジェクトの運営・管理者と会員、注射用水を製造する医薬品関連の事業者などです。中小規模建築物では、既存の建物やその敷地への設置も義務の履行として扱われる場合があるため、該当するかどうかの確認が必要とされています。意見の締切は2026年11月4日18時で、電話による提出はできません。
運営者コメント
懸念される点・課題
「自治体等により超過分が確認されている」ことが条件ですが、どのような手続きや書類で確認を受けるのかは資料には記載がありません。確認の仕組みが自治体側に整っていなければ、実際には使いにくい可能性があります。また、意見募集の期間は2026年10月21日から11月4日までの約2週間です。任意の意見募集であることが理由とされていますが、事業者が中身を検討して意見をまとめるには短いとも言えます。
注目点・留意点
施行は2026年11月中旬予定とされていますが、具体的な日付は資料には記載がありません。今回のただし書きは太陽光発電設備に限ったもので、太陽熱や地中熱などの超過分を評価する規定は示されていません。東京都以外の制度は、同じような仕組みであれば同様に扱い、考え方が異なる場合は事業者が整理したうえで制度管理者に問い合わせることとされています。自分の地域の制度がどちらに当たるかは個別に確認が必要です。
よくある質問
東京都以外の自治体で太陽光の設置が義務付けられている場合も、超過分は登録できますか。
改定案の本文では、東京都の制度と同じように新築住宅への再生可能エネルギー設備の導入などを義務付けている制度のもとでの取り組みは、同様に扱うとされています。考え方が異なる制度の場合は、プロジェクト実施者が内容を整理したうえで制度管理者に問い合わせることとされています。個別の自治体名は資料には記載がありません。
超過分について自治体の「確認」を受けるには、どのような手続きが必要ですか。
具体的な手続きや提出書類は資料には記載がありません。資料に書かれている条件は、超過分を客観的かつ数量で特定できることと、その超過分が自治体等によって確認されていることです。
新しい方法論EN-S-047は、正式に決まる前から使えますか。
現行の実施規程では、新しく提案された方法論案が意見募集にかけられている間は、その案に基づいてプロジェクト計画書を作り、妥当性確認(第三者機関による計画のチェック)を受けられるとされています。ただし、方法論案が承認されなかった場合はプロジェクトも登録されません。
意見はどうやって出せばよいですか。提出した内容は公開されますか。
e-Govの意見提出フォームから、2026年11月4日18時までに提出します。電話では受け付けていません。意見は最終決定の参考にされますが、個別の回答はないとされています。氏名・住所・電話番号・メールアドレスを除いて、すべて公開される可能性があります。個人を特定できる記述や、財産権などを害するおそれのある部分は伏せて公表されます。
このページの要約・解説・よくある質問は、公表資料(原文)をもとに作成したものです(作成日時: 2026/10/22 20:05)。内容の正確さには注意を払っていますが、制度の詳細や最新の情報は必ず原文で確認してください。
評価できる点
これまでは義務の履行にあたる設備を一律に対象外としていましたが、義務量を超えて上乗せした部分は評価できるようになります。義務以上に太陽光を導入した取り組みが制度上の評価から漏れにくくなる点は評価できます。対象を広げる一方で、超過分を客観的かつ数量で特定できることと自治体等による確認の両方を条件にしており、削減量の水増しを防ぐ配慮もうかがえます。注射用水の方法論の新設で、医薬品製造の分野にも制度の使い道が広がります。