令和7年度全国学生調査(本格実施)、2年生の60%が授業の予習復習など週5時間以下
原文のタイトル: 令和7年度「全国学生調査(本格実施)」の結果を掲載しました
原文を開くAIによる要約
- 文部科学省が令和7年度「全国学生調査」の結果を公表した。本格実施の初年度で、971校の33万6,571人が回答した。
- 回答率は大学25.3%、短大60.8%だった。前回の試行実施(大学13.1%、短大38.0%)から大きく上がった。
- 大学生の91%が「教え方の工夫があった」と答えた。一方、「外国語を使う力が身に付いた」は40%にとどまった。
- 2年生は授業への出席時間が長い。一方で、予習・復習など授業に関する学習が週5時間以下の学生は60%で、文科省は課題としている。
- 学部・学科別の結果は、公表に同意した大学の分を年内をめどに別途公表する予定。
重要な日付
- 2018年11月26日(月)中央教育審議会が「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を出し、全国的な学生調査を提言
- 2026年2月13日(金)第14回「全国学生調査」に関する有識者会議を開催
- 2026年3月13日(金)令和8年度「全国学生調査」実施要領を策定
- 2026年10月9日(金)令和7年度「全国学生調査(本格実施)」の結果を公表
- 2027年3月31日(水)令和8年度調査の実施期間の終わり(令和9年3月末)。大学独自の調査を使う方法(調査方法②)では、この日までに回答データをアップロードする
解説
背景
「全国学生調査」は、大学教育や学びの実態を学生の目線から調べる全国共通のアンケートです。きっかけは、2018年(平成30年)11月26日の中央教育審議会の答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」です。この答申は、社会が理解しやすいよう、国が全国的な学生調査などで情報を整理し、比較できる形で公表すべきだと提言しました。文部科学省は、学ぶ側を中心に据えた教育(学修者本位の教育)への転換を目指す取り組みの一つとして、令和元年度・3年度・4年度・6年度の計4回、試行的に調査を行い、調査方法や質問を検証してきました。令和7年度は、その知見をもとに制度を固めた「本格実施」の最初の年にあたります。資料は、少子化で大学を取り巻く環境が大きく変わるなか、大学には規模や知名度、入試の難しさに関係なく、教育の質について外部から適切な評価を得ることが求められていると説明しています。担当は高等教育局大学振興課です。
何が決まった・変わるのか
調査期間は令和7年10月から令和8年3月までです。参加を希望した大学734校の学部2年生と最終学年生、短期大学237校の最終学年生が対象で、33万6,571人が有効回答しました。回答率は全体で26.0%です(前回は13.5%)。大学生の肯定的な回答は、「理解しやすい教え方の工夫」が91%、「専門分野の知識・理解が身に付いた」が90%、「成長を実感している」が86%でした。これに対し、「提出物に適切なコメントが付いて返ってくる」は59%、「授業アンケートなどで教育が良くなっている」は57%、「データサイエンスの知識・技能」は56%、「外国語を使う力」は40%にとどまりました。2年生は約3分の2が週16時間以上授業に出ていますが、授業に関する学習が週5時間以下の学生が60%いました。文科省は、1単位につき45時間の学修を標準とする単位制度の考え方からみて「大きな課題」としています。短大は全体として大学より肯定的な回答が多い傾向でした。肯定的な回答の割合が高い学部を上位から並べた一覧(ポジティブリスト)は、当初は公表予定でしたが、今回は公表しないとされました。
誰に関係するか
主に関係するのは、調査に参加する大学・短期大学の2年生と最終学年の学生(短大は最終学年のみ)です。令和8年度の調査は、令和8年10月頃から令和9年3月末までの実施予定です。回答は匿名で、所要時間は約10分とされています。回答は1人1回までで、重複して答えないよう求められています。受験生や保護者は、今後公表される学部別の結果を大学選びの参考にできます。ただし、回答率が低い学部もあり、結果が学生の自己評価である点には注意が必要です。大学関係者は、調査への参加や結果の公表が、補助金(大学教育再生戦略推進費や私学助成)の要件や指標とされる予定であることを確認しておくとよいでしょう。
運営者コメント
懸念される点・課題
回答率は大学全体で25.3%にとどまります。文部科学省のウェブ調査(調査方法①)では18.1%、学生2,000人以上の大学では20.9%でした。回答者が一部の学生に偏っている可能性は残ります。資料自身も、集計の基準によって小規模な学部・学科の特徴が反映されていない可能性を認めています。また資料は、回答率が上がった理由として補助金の要件化を挙げています。参加が財政面の動機に左右されやすい点や、調査方法によって回答率が大きく違う点は、大学どうしを比べるときの公平性に関わる課題です。
注目点・留意点
今後の注目点は、年内をめどに公表される学部・学科別の結果と、中央教育審議会で議論されている「新たな評価」に調査結果がどう使われるかです。学部別の結果は公表に同意した大学の分だけなので、掲載がないことが結果の良し悪しを意味するわけではありません。ポジティブリストは今回公表されませんが、令和8年度の実施要領には公表すると書かれており、今後の扱いを確認する必要があります。なお、数値はあくまで学生の自己評価です。
よくある質問
全国学生調査とは何ですか。
大学の授業の様子、身に付いた力、1週間の時間の使い方などを、全国共通の質問で学生に尋ねるアンケートです。選択式33問と自由記述1問からなります。目的は、各大学の教育改善、受験生や社会への情報提供、国の政策立案の基礎資料とすること、そして学生自身が学びを振り返るきっかけにすることです。令和7年度が本格実施の最初の年でした。
自分も回答の対象になりますか。
参加する大学の学部2年生と最終学年生(短大は最終学年生のみ)が対象です。令和8年度の実施要領では、大学院大学と通信制大学、令和6年度から募集を停止した学部は対象外とされています。参加するかどうかは大学ごとに決まります。令和8年度にどの大学が参加するかは、資料には記載がありません。
回答した内容が大学や他人に知られることはありますか。
資料によると、回答は匿名で、個人が特定されない形で所属する大学に提供されます。個人を特定できる質問(学籍番号など)を追加することは認められていません。自由記述は、文科省のウェブ調査の場合、個人が特定されないよう処理(マスキング)したうえで大学に提供されます。大学が独自調査で実施する場合は、大学が個人を特定する情報を削除してから提出します。
志望する大学や学部の結果は見られますか。
学部(短大は学科)ごとの結果を、回答の分布の形で年内をめどに公表する予定とされています。ただし対象は、結果の公表に同意した大学だけです。具体的な公表日は資料には記載がありません。また、令和7年度は肯定的な回答の多い学部の一覧(ポジティブリスト)は公表しないとされています。
調査結果は今後どのように使われますか。
各大学には自校の結果が個別に送られ、教育の改善に使われます。文部科学省は、学修者本位の教育への転換に向けた施策の検討に使うとしています。また、中央教育審議会で議論されている「新たな評価」での活用が見込まれ、それに合わせた質問の見直しも求められるとしています。具体的な活用方法は資料には記載がありません。
このページの要約・解説・よくある質問は、公表資料(原文)をもとに作成したものです(作成日時: 2026/10/09 20:03)。内容の正確さには注意を払っていますが、制度の詳細や最新の情報は必ず原文で確認してください。
評価できる点
回答者は前回の約13.8万人から約33.7万人に増え、回答率もほぼ2倍になりました。全国規模で学生の声を比べられる土台が整いつつあると言えます。提出物へのフィードバック不足や外国語の力、学習時間の短さといった課題を数値で示しただけでなく、授業アンケートの効果を感じる学生が増えたなどの改善の兆しも示しました。教育改善の手がかりとして意味のある内容です。学部別結果の公表で、受験生などへの情報提供が広がることも期待されます。